三菱化工機株式会社

米国NEIトリートメントシステムズ社とバラスト水処理装置「三菱-VOSシステム」の販売契約を締結

三菱化工機株式会社(社長:波多野 怜)は、このたび米国NEIトリートメントシステムズ社(正式名称:NEI Treatment Systems, LLC、ロサンゼルス市、社長 Peter D. McNulty、以下NEI社)と、バラスト水処理装置VOSシステムの販売契約を締結しました。(VOS: Venturi Oxygen Stripping TM)
世界各国において、バラスト水のプランクトン、バクテリアによる環境破壊の問題については、かねてから憂慮されており、これによる被害を防止するために、2004年IMO(国際海事機関)においてバラスト水を積載する船舶にバラスト水処理装置の搭載を義務付ける条約が採択されました。この条約が発効すれば、2016年以降は、既存の船を含むすべての船舶についてバラスト水処理装置の搭載が義務付けられることになります。
このような、新しい規制へ対応するために開発されたVOSシステムは、殺菌剤などの化学薬品を使用しないため、環境に優しく、運転費用も他のシステムに比べ大幅に低くなっております。また、コンパクトであるため、新造船だけでなく、就航船への搭載も容易であるという大きな特長があり、小型船舶からVLCCなどの大型船まで幅広い対応が可能です。
VOS システムは、独自設計の不活性ガス発生装置(Inert Gas Generator=IGG)により発生された低酸素不活性ガスを、ベンチュリー管にてマイクロバブル化し、短時間で効率的に溶け込ませることで、バラスト水中の酸素を除去、プランクトン、バクテリアを短時間に効率的に死滅させることができる画期的なシステムです。
NEI社はVOSシステムの米国での特許を既に取得し、日本を含む他主要国への特許申請も終了しています。VOSシステムは、上記IGGと不活性ガスをバラスト水に効率的に溶解させるためのベンチュリ管、バラスト水供給ポンプ及び同システムが正しく作動していることを検証するモニタリング装置により構成されており、運転も全自動で行われます。(添付フロー図参照) 
VOSシステムは、2004年国際独立タンカー船主協会(INTERTANKO)の「環境への挑戦」プログラムにおいて賞を受けると共に、世界に先駆け、IMO規制値をクリアーすることが確認されており、条約発効前ではあるが、すでに2隻(40,000t / 32,000t バラ積み船)の納入実績があります。 
また、VOSシステムは海水の塩分濃度、汚れ、処理量に左右されることも無く、運転、保守も容易であるというだけではなく、不活性ガスをバラストタンクに封入することで、バラストタンクの錆を防ぐことができるため、塗装補修などのメンテナンス費用が大きく削減できるという、他のシステムには無い大きな利点も有しています。これは、同様にIMOにおいて新たに承認されたバラストタンク新塗装基準を運用する上での大きな助けとなることが期待されており、現在、防食効果の評価試験を進めております。
三菱化工機は船舶の機関室向けの油清浄機市場において大きなシェアーと世界のサービス網を持っており、また、VOSシステムの主要構成機器である、IGGの納入経験を有していることから今回の技術提携に至りました。
バラスト水処理装置の日本での市場規模は、2010年には80億円、2012年には350億円にも上ると言われています。また、バラスト水規制適用を受ける予定の船舶の計画が既に始まっていることから、三菱化工機は他社に先駆け、実装置を2007年4月より日本市場に投入、造船会社や海運会社向けに積極的に売り込みます。

三菱-VOSシステム フロー図