三菱油清浄機(三菱セルフジェクタ)の新シリーズを開発し、「三菱SELFJECTOR-GENIUSシリーズ」として販売を開始する。
このたび、三菱化工機(社長:籔内 康雄)は、主力製品のひとつである三菱油清浄機(三菱セルフジェクタ)の新シリーズを7年ぶりに新規開発し、新商品名を「三菱SELFJECTOR-GENIUS シリーズ(略称SJ-Gシリーズ)」として本年9月より販売を開始いたします。
今回新規開発したSJ-Gシリーズは、従来の三菱SELFJECTOR-FUTUREシリーズ(以下「SJ-Fシリーズ」という。)をさらに進化させたものです。すなわち、SJ-Gシリーズは、SJ-Fシリーズの開発コンセプトである「よりタフネス、よりメンテナンス性の向上」を踏襲しつつ、新たに新HIDENS(高比重油処理)システムを採用し、低質燃料油処理における「信頼性の向上」と「微粒子除去性能の向上」を達成するために開発された当社の最新鋭機であります。
当社の三菱油清浄機は、昭和17年の発売以来、OP(OIL PURIFIER)、SJ(SELFJECTOR)の愛称で知られ、遠心力を利用して比重差により燃料油、潤滑油などに含まれる油分・水分・スラッジを三相に分離し、油分に含まれる微少水分、スラッジを除去、清浄、再利用することで、国内外の舶用を中心とした顧客から永年にわたり高い信頼性と好評を賜っております。
三菱油清浄機は、今日まで開発改良、改善及びモデルチェンジを重ね累計65,000台以上を生産・納入し、現在SJ・OP併せて2タイプ14機種が生産されており、用途に応じて700~14<200リットル/時の処理量〈180cStのC重油〉で幅広い顧客のニーズに応えております。
今回当社がSJ-Gシリーズを新規開発した背景には、コンテナ船大型化に対応する大容量機の開発、低質燃料油処理における「信頼性の向上」と「分離性能の向上」、加えて「艤装工事の簡素化」を実現することがあり、これに対応するための開発を急いでおりましたが、今回開発を完了し販売する運びとなったものであります。
このSJ-Gシリーズの主な特長は、次の通りです。
(1) 小型・軽量・省電力及び高性能化を実現しました。(SJ-Fシリーズと比較して)
①製品本体の総重量15%の減少を実現。
②処理能力10%の向上を実現
③モーター動力10%の低減を実現
(2) 信頼性の高い「新HIDENS(高比重油処理)システム」を標準採用・搭載しました。
①構造的にシンプルなため信頼性が高く、また清浄油への水分混入のない間に水分の堆積を検知できる理想的な方式で、低質燃料油処理における信頼性の向上に寄与致します。
(3) 分離性能に優れた回転体構造の開発改良を実施。
①分離性能を高めるために種々の実験並びに数値解析を試み、理想的な回転体構造、特に分離に直接影響を及ぼす分離板形状の最適化を行いました。
(4) 高いスラッジ排出性をもたらす排出メカニズムを導入。
①分離性能の向上に伴いスラッジの捕捉量も増加するため、弁シリンダの開弁速度アップ(従来比10%向上)等のスラッジ排出メカニズムを改善し、スラッジ排出性をさらに向上させました。
(5) 従来よりもエンジン出力に対応させた型番構成(9型番)の採用と大型コンテナ船向けの大容量機種のラインアップを実施。
①エンジン出力に合せた合理的な型番選定ができるよう、現在のSJタイプ7機種を今回は、基本フレーム4タイプ、9型番の木目細かい構成と致しております。
(6) 艤装工事の簡素化・ユニット化に最適なフレームデザインの採用と清浄機本体付きの新型の3~4連バルブの採用。
①SJ-Gシリーズは、「ユニット化に最適なフレームデザイン」を開発コンセプトの1つに掲げ設計致しましたので、清浄機本体と付属機器の装着方法には、特に次の3点に注意を払いました。
i)ストレーナー、定流量弁などの自動化弁類の機能を統合し、部品点数を大幅に低減。
ⅱ)検知・ディスプレイ機能を統合した「マルチモニタ」の採用。
ⅲ)自動化弁類及び検知器の清浄機本体への装着。
②上記①の実施に伴い、ユニット化が容易になったことは勿論、清浄機本体の据付・設置自体も容易になり、艤装工事工数の低減に寄与できるものとなりました。(自動化弁類の数量は、従来比30%削減され、水配管ラインの取り合いも3本から1本に減少しました。)
(7) パイロットバルブ排出機構によるトータル/パーシャル排出兼用メカニズムの採用。
①スラッジの排出には、約30,000台の納入実績を有する信頼性の高いパイロットバルブ排出機構をさらにブラッシュアップ致しました。このパイロットバルブを採用することで、スラッジの排出を「①トータル排出する、②パーシャル排出する、③トータル/パーシャル排出する。」の3通りから選択できます。
(8) フレーム上部のスラッジ排出シュートには、スパイラルシュートを全型に採用。
①フレーム上部のスラッジ排出シュートは、回転体の風圧を利用し、スムーズにスラッジをスラッジタンクに導くことが出来るスパイラルシュートを全型に採用し、コンパクト化致しました。
(9) 直結ギアポンプの標準装備。
①SJ-Gシリーズは、GP10G,20G,40G,60G,80G,110Gの6型番の吸入ポンプ(ギアポンプ)を標準化しています。このポンプは清浄機体と取合部の互換性があるので、通油量に応じた適正なポンプを選定できるメリットがあり、また、このポンプは清浄機直結ポンプですので、艤装工事の簡素化及び設置スペースの削減に寄与致します。
(10) グラフィックパネル制御盤の採用。
①自動化弁類の作動状況及び警報発生個所の確認が容易なグラフィックパネルを標準装備致しました。
(11) さらにオプションとして、
①バンドパスフィルタ付き振動検知器(回転体の異常振動を検知する装置)
②遠隔運転監視システムの採用により、安全性を高め、併せて省力化、操作性の改善に一層寄与できる製品となっております。
また、新たにSJ-Gシリーズに各種弁類、付属機器、制御盤類を加え、コンパクトにまとめた新清浄機ユニット「AU-G」シリーズを同時にラインナップ致しました。
・販売価格については、処理量が同量の場合はSJ-Fシリーズの価格を据え置くこととし、実質廉価にてご提供する方針と致しております。