空気強制循環式液化天然ガス(LNG)気化器の開発・完成、販売を開始
このたび、三菱化工機株式会社(社長:籔内康雄、TEL044-333-5354)は、西部ガス株式会社(社長:平山良明、TEL092-633-2211、本社住所:福岡市博多区千代1-17-1)と共同で、空気強制循環方式を採用した高効率の液化天然ガス(LNG)気化器の開発を完成させ、販売を開始した。
液化天然ガス(Liquefied natural gas:LNG)は、天然ガス(メタンガスを主成分とした可燃性ガス)を零下162℃に冷却・液化したものであり、次の特長を有している。
- 液化すると体積が約600分の1となるため、船舶、タンクローリー等による大量輸送が可能。
- 液化の際に、硫黄化合物が除去されるので、燃焼時にSOx(硫黄酸化物)が発生せず、石油、石炭に比べCO₂(二酸化炭素)の発生量も少ない。
液化天然ガス(LNG)は、主に都市ガス及び電力用として海外から輸入され受入基地に搬入、必要に応じて、海水、温水または大気等を熱源にして気化・再ガス化される。このうち、受入基地が、港湾施設に近い場合には、熱源に海水を利用している。
ガス供給の配管設備の無い内陸部では、一定地域に受入基地を設けて、タンクローリー等によりLNGを搬出し、そこで温水又は大気等を熱源にして気化・再ガス化し、周辺地域へガス供給を行っている。〔(注1)これをサテライト基地という。)〕
(この際、温水の利用は、コストの関係上冬季に限ることが多い。)
大気を熱源とする従来型の空温式気化器(屋外に設置した熱交換器にLNGを通して気化させる装置)では、気化運転を続けると、空気中の水分がこの熱交換器の表面に着氷するため、定期的に予備の気化器に切り替えて、熱交換器の表面に着氷した氷を溶かす作業が必要となっていた。(冬季には、この着氷を溶かす場合も温水を使用していた。)
今回当社が、西部ガス株式会社と共同開発した空気強制循環式気化器は、従来型では屋外に開放・設置していた熱交換器部分を密閉した箱型構造の中に設置し、この箱型の内部に、加温した乾燥空気を循環させることにより気化させるもの。
本方式の気化器では、従来型に比べ、次のような優れた特長を有しています。
- 本方式では熱交換器表面への着氷を少なく抑えられるので、従来型の空温式気化器では通常4時間毎に予備の気化器に切り替える必要がありましたが、連続24時間の気化運転も可能となりました。
- 長時間連続運転が可能なため、従来型のような予備の気化器の設置が不要となり、設備投資の低減が図れます。
- さらに従来型の空温式気化器では、気化運転中に大気中の水分が冷され白煙を発生させるため、周辺での作業に支障をきたす等の問題が生じていたが、本方式気化器では、乾燥空気を循環させる密閉構造としたため、白煙の発生も無くなりました。
今回開発した気化器の第1号機は、既に西部ガス株式会社の熊本サテライト基地にて順調に稼動しており、本年中には、他に2つの都市ガス事業者の設備が稼動する予定です。
本方式気化器の販売は、三菱化工機株式会社と、西部ガス株式会社の関連会社である西部ガスエンジニアリング株式会社(社長:平山 良明 TEL092-633-2411、本社住所:福岡市博多区千代1-17-1)が主にサテライト基地向けとして行います。
本気化器の概要は、次の通りです。
大きさ(外壁を含む):W 16.8m×D 3.0m×H 11.0m 能力:5t/h
(注1)サテライト基地:LNGが小規模貯蔵されており、再ガス化用の気化器が設置されている都市ガスの製造設備。このLNGは、大規模なLNG基地からタンクローリー車にて輸送・搬入される。