三菱化工機株式会社

「多機能有害ガス処理システム」の販売を開始

三菱化工機株式会社(本社:川崎市、籔内康雄社長)は、ダイオキシン、NOx、SOxおよび各種臭気等の有害ガスを除去し、総合的に処理する「多機能有害ガス処理システム」の販売を開始した。

三菱化工機株式会社は、これまでに国内で初めて大型の排煙脱硫処理設備を実用化した実績があり、公害防止技術のパイオニアとして、数多くの有害ガス処理技術を保有している。今回販売する同システムは、これまで永年に亘り蓄積した技術に加え、海外メーカーとの技術提携による、より高度な処理システムとなっており、このシステムの販売に注力する。

平成9年12月1日に規制が施行された、ダイオキシン排出抑制に対応するため、現在、焼却炉の燃焼改善及びダイオキシン除去設備の設置が急がれている。しかし、現在建設されている大部分の焼却・処理設備は、活性炭を吹き込む除去設備であり、これには、活性炭の負担費用が高いため、より経済性のある除去設備が望まれている。また、各種臭気の除去となる脱臭については、各企業とも近隣への配慮から、規制値以上の臭気抑制を検討しているところが多く、現状より更に高性能な臭気除去率を保有しかつ廉価な技術の登場が望まれている。

三菱化工機の「多機能有害ガス処理システム」は、これらの要請に対応した運転コストを削減することを特長とする技術から構成されている。一つには、乾式ダイオキシン分解技術であり、排ガス中のダイオキシンを触媒上で分解し無害化するため、活性炭を使用することなく、活性炭により有害物質を単に吸着する方式のような二次公害の心配がない。また、従来の薬液洗浄脱臭法の欠点を大きく改善する技術として、英国ICI CHEMICA-LS&POLYMERS LTD(アイシーアイケミカルズアンドポリマーズ社)からオダガード脱臭法を技術導入した。このオダガード脱臭法は、薬液循環ラインに反応器を組み込み、次亜塩素酸ソーダを触媒上で分解しラジカル酸素を発生させ、酸化反応をより活性化させるものです。これにより従来の薬液洗浄脱臭法の欠点であるアルカリ(苛性ソーダ)の使用料を、約7分の1に低減可能とし、さらに脱臭能力が高効率となり、今後予想される臭気の規制強化にも対応できるものです。

本システムの対象用途は、平成14年12月までに設置が義務づけられている焼却炉のダイオキシン除去、塩ビ製造・廃塩ビ油化処理等から発生するガス処理、そして高度な臭気処理などであり、さまざまな有害物質の除去に採用が期待される。

三菱化工機では、本システムの販売と同時に、各種排ガス中のダイオキシン除去、塩素ガス除去及び脱臭など広範囲の目的に対応できる実証テスト機を完成させた。本実証テスト機は、

  • 触媒ユニット(ダイオキシン触媒分解、活性炭吸着)
  • 吸収及び湿式触媒ユニット(湿式ダイオキシン吸着、オダガード薬液脱臭、塩素系ガス除去、排煙脱硫)
  • バグフィルターユニット(乾式ダイオキシン除去)
  • ユーティリティユニット(薬剤供給、制御盤)

の4ユニットから構成されており、処理対象物に応じ、目的とする除去性能を満足するための最適なシステムの組み合わせの検証を可能にしている。本機の能力は、60Nm3/Hrであり、要請のある顧客のところまで本機を持ち込み、最適なシステムを実証提案できる。なお、本機では、排ガス処理に限らず、湿式触媒ユニットを利用して、排水中の難分解性物質を触媒上で酸化分解処理することも可能であり、医薬製造排水処理、染料排水などの着色排水を分解し、脱色放流にも応用可能である。(本テスト機の写真は下記参照。)

三菱化工機は、本テスト機を販売促進用に利用し、需要の掘り起こしを図り、100~600,000Nm3/Hr規模の実設備の受注15億円を見込んでいる。