下水汚泥を利用した高発熱量バイオマス燃料製造システム(MegaFuel System)を開発
三菱化工機株式会社(社長・波多野 怜)は、下水汚泥を原料として高カロリーのバイオマス燃料を製造する石炭代替燃料製造システムを開発しました。石炭代替燃料の製造は、最終処分場不足等の汚泥処理問題の解決につながります。また、カーボンニュートラルな石炭代替燃料の使用により、温室効果ガスの発生を大幅に抑制することが可能となります。
開発の背景
下水汚泥は、現在、コンポスト化して緑農地に散布するほか、その焼却灰を建設資材の原料にする方法により、リサイクルされています。しかし、このような下水汚泥のコンポスト化及び焼却は、全国で発生する汚泥全体の67%(※1)にとどまっており、更なるリサイクル率拡大が期待されています。リサイクル率拡大には、汚泥を原料とする製品、用途の開発が必要です。新たな用途として、炭化による石炭代替燃料化が検討されていますが、炭化製品の発熱量不足、設備の維持管理費及び炭化後の製品冷却等の課題を抱えています。
これらの課題を解決するため、弊社では、下水汚泥を資源として有効利用するカーボンニュートラルなバイオマス燃料を製造する技術の開発及び実用化に向けた取組みに3年前より着手しました。平成17年度にはNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の産業技術実用化開発助成事業の採択を受け、実証試験を推進して参りました。
※1・・・平成18年3月7日国土交通省発表「下水汚泥のエネルギー利用」資料による
プロセス
下水処理場から発生する脱水汚泥(含水率約80%)を破砕・均質化した後、高圧汚泥供給装置により改質装置に送ります。改質装置には高温スチームが吹き込まれ、汚泥を加圧・加熱します。(1.5~2.8MPa・200~230℃)この過程で、汚泥は改質・液状化されます。同時に、汚泥中の酸素が離脱し、発熱量が向上します。液状化した改質汚泥は、冷却後、脱水機に送られ、含水率50%以下の脱水ケーキとなります。脱水ケーキは、乾燥機にて含水率10%以下まで乾燥され、粒状(1~2mm)の燃料となり、製品発熱量は22,190kjoul/kg-乾固形分(約5,300kcal/kg-乾固形分)を有しています。また、汚泥は約86%減容されます。冷却プロセスにて回収した熱を乾燥機に有効利用するほか、脱水プロセスの排水をメタン発酵処理してエネルギーの回収を行う等、本システムは優れたエネルギー効率を有しています。
今後の展開
三菱商事株式会社環境・水事業ユニット及び住宅資材ユニットと協力し、残渣ゼロのバイオマス燃料製造システムとして、国内外の自治体等のユーザーに提案して参ります。また、セメント会社と共同でセメントキルン(焼成窯)用の石炭代替原燃料としての評価を行い、安定的利用を推進する予定です。なお、本技術により製造された石炭代替燃料は、砂等の無機質分が含まれているため、セメント原料としても利用可能です。
本システムで製造された燃料は、セメントキルン以外にも石炭火力発電、工業炉、石炭ボイラ用燃料として広く使用可能であり、温室効果ガス排出削減に貢献することが期待されます。
システムフロー
弊社四日市工場内に設置した実証試験装置
弊社四日市工場屋外に設置したメタン発酵排水処理装置
三菱汚泥燃料化システム MegaFuel System
Mitsubishi Eco-fuel Generation Process as Alternatives Fuel System