技術系職種座談会
現場で直面する課題、仕事の面白さ・大変さなどについて、
技術系職種の先輩社員が本音で語る座談会。
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現場で直面する課題、仕事の面白さ・大変さなどについて、
技術系職種の先輩社員が本音で語る座談会。
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多くの企業がSDGsに策定された持続可能な開発目標の達成を目指し、取り組みを進めています。その中でも脱炭素化というのは大きな課題の一つです。モノづくり国家である日本では、プラントや工場におけるCO2排出量の削減は一つの使命と言えます。その中で、プラントの設計・建設や、設備の開発に挑む技術者たちは、何を目指しどんな課題と格闘しているのか、話を伺いました。
M.T
環境プロセス工学科卒 2014年入社
プラント設計部 計装電気設計課
計装設計係
プラントにおける計測・制御に関する設備の計装設計を担当。担当のお客様は、化学メーカー、食品メーカー、ガス・石油関連のエネルギープラントなど多岐に渡る。大規模プラントにおいて、お客様が目指す製品製造を実現するための制御方法を立案し、計器類の手配や現場での試運転まで行う。
I.M
環境創生理工学教育プログラム卒
2016年入社
研究開発部 開発実装課/水素・エネルギープロジェクト部 水素・エネルギープロジェクト課 兼務
社内での製品開発業務とプロジェクトエンジニアリング業務を兼務し、プロジェクトの受注から納品まですべての流れをトータルに管理する。お客様に対しては技術窓口となり、また、社内の設計部門・建設部門・社外パートナーとの調整役として、プロジェクトの工程・コスト管理などを担当。担当のお客様は化学メーカーや、ガス・石油関連のエネルギープラントなど幅広い。
K.K
機械工学科卒 2021年入社
製造部 生産技術課
三菱化工機の主力製品の一つである船舶用油清浄機「三菱セルフジェクター(SJ)」の生産工場にて、材料の選定、加工方法や作業者の作業方法の改善などを行う。SJは年間で数千台の生産体制を維持しているが、近年では生産工程のデジタル化による自動化を推進し、生産効率の向上に挑むことが大きなミッションでもある。
O.H
環境システム工学系卒 2023年入社
研究開発部 開発企画課
新規業務の立ち上げのための検討や、開発段階の装置・技術の検討を行い、事業化を目指す活動を担当。未知の分野に挑むため、研究・開発では大学等との共同研究も実施する。まだ製品やサービスとして明確な形になっていない、アイデア段階から、三菱化工機の事業としてお客様に提供できるものにするべく、実験や研究を行っている。
Q1
M.T
私の場合、非常に規模の大きな、地図に残るようなプラントや工場の建設に関わることが多いです。例えば、近年は半導体関連のお客様の設備を担当することもあります。
I.M
大げさではなく、日本のモノづくりを支えるような仕事ですよね。
M.T
そうしたプロジェクトの中で私は制御装置の設計を担当しています。この仕事って、お客様の設備をつくるだけで終わりじゃないんです。設備の試運転を行い、自分が設計した通りに稼働することを確認して、お客様が製品を世に送り出すところまで見届けます。その瞬間は、自分の仕事が社会につながっていると実感します。
M.T
そうですね。半導体はあくまで一例ですが。自分の仕事は日本の産業の一役を担っていると、いつも思っています。
I.M
ただ、社会課題という観点でいくと、制御設計って人手不足という課題に挑む仕事でもありますよね。
M.T
大きくは「自動化」という観点です。大規模なプラントだと、バルブ操作による流量、圧力、温度の調節など「制御」を必要とするたくさんの工程があります。ただ、それらに対して人が多く介入する設計にしてしまうと、たくさんの作業者が必要です。特に近年では、生産現場の労働力不足は深刻な課題です。そこで必要な観点が、生産工程の自動化です。制御システムの設計によって、できるだけ人の手を介さずに生産できるように「自動化」するんです。ただ、安全に配慮することは最重要です。プラント設備で事故が起こるようなことがあってはなりません。自動化によりヒューマンエラーを減らすことはできますが、一方で人の目で確認して操作が必要なこともある。そのケースにあった最適な方法を検討します。
I.M
私の分野では「脱炭素」という大きな課題にお客様と一緒に取り組んでいます。
I.M
ニュースでよく取り上げられるなど、世界的な課題になっています。その中で私たちが提供しているものが水素製造装置です。生産工程などあらゆる場所で必要になる燃料を水素に切り替えようという取り組みに、水素製造装置というソリューションを提供しています。
O.H
三菱化工機と言えば水素技術が代名詞になっていますね。
I.M
そうですね。今の開発課題は、水素の製造過程で発生してしまうCO2をいかに削減できるかという点です。
K.K
水素をつくる過程でもCO2が出てしまうんですか?
I.M
水素の製造方法は複数あり、当社が昔から行っているのは石油や天然ガスなどの化石燃料から化学変化(*)させて水素をつくる手法です。ただ、これだとCO2が発生してしまいます。世界的に見れば、化石燃料を使用せず水電解で水素をつくる装置もあり、さまざまな方法が模索されています。また化石燃料を使うにしても、製造過程で発生するCO2を回収する手法もあり、これも開発が進んでいます。(*:水蒸気改質法)
M.T
脱炭素を目指して水素を活用する取り組みというのは、さまざまなお客様の現場で活発になってきているんですか?
I.M
皆さんご存知なのは水素自動車ですよね。この点、当社も全国で水素ステーションの建設に携わっています。その他、水素稼働の電車やスクーターの開発が行われていたり、モビリティ分野では日本のみならず世界でCO2を排出しない水素をエネルギー源とするさまざまな開発が進んでいます。また、鉄鋼関連の分野ですと、製鉄の過程で使用していた化石燃料由来の原料(コークス)を水素に代替する取り組みが進んでおり、ここにも、当社の水素製造技術が大きな期待をかけられています。
K.K
目の前の課題ですと、やはり製品の品質とコストのバランスですね。お客様に対して、高品質の製品をいかに安価に提供できるか、という点に取り組んでいます。その課題を乗り越えるには生産に関わる加工コストや作業コストなどの改善のためにデジタルツールを取り入れたスマート工場化の推進が不可欠です。この点、先ほどのM.Tさんのお客様の話と通じるのですが、三菱化工機の生産現場でも自動化が命題になっています。
M.T
工場のスマート化においては、どのような取り組みが進んでいるんですか?
K.K
機械の稼働状況を“見える化”し、モニタリングを行っています。数値でデータを得られることで分析もしやすく、データとして蓄積していくため後々は工場のビッグデータとして、加工改善や作業改善に繋げていきたいと考えています。
O.H
やはり、環境問題にどのように貢献していくか、という点です。現在、私が関わっているのは「微細藻類事業」といいます。わかめや昆布といったいわゆる藻類の中でも特に小さい微細藻類を培養し、そこからオイルや化粧品の原料などをつくるための装置やプロセスの開発を進めています。実際には、すでに製品化された装置もあるのですが、さまざまなユーザーのニーズに応えるためには装置の改良など多くの課題があり、解決に挑んでいます。
K.K
具体的には、どんな産業で活躍が期待されている装置なんですか?
O.H
先ほどI.Mさんの話の中で、水素の製造過程でCO2が発生するという課題がありましたが、藻類は基本的にCO2を吸収し、光合成することで最終的にバイオフューエル、たんぱく質、化合物などをつくります。たとえば、お客様の生産現場に水素製造装置を設置する際に、藻類の培養装置を併設すれば、課題解決の一助になると考えています。
Q2
M.T
私はもともと大学で化学工学を専攻していました。これは、化学知識を使ってモノづくりのプロセスを学ぶ学問で、プラント設備に直結するような学問なんですね。そのため、プラントエンジニアリング業界を志望したのは自然な流れでした。たくさんある会社の中で三菱化工機を選んだのは、会社の規模感が理由です。変な話かもしれないですけど、それほど大規模な会社ではないので、社員同士の距離が近そうなことや、仕事において任せてもらえる範囲が広そうなところが決め手になりました。
I.M
私も似たところがあるかもしれないです。実は私もM.Tさんと同じ大学・学部で、プラントエンジニアリング業界を志望していました。ただ、大学でも脱炭素技術を研究していたんです。そこで疑問に思っていたのは、先端の研究がどれだけ進んでも、実際の世の中にはなかなか広がっていかないことです。やはり、いくら進んだ環境技術でもビジネスにしないと社会に浸透しないんです。研究で終わらせずに社会に技術を広めていくにはどうすべきか、思い当たったのがプラントエンジニアリング業界だったんです。
K.K
私は大学で機械工学を勉強していて、製造業を志望していました。その中で三菱化工機に惹かれたのは、セルフジェクター(SJ)のような世界シェアを有する製品があるため、事業・経営基盤が固いと感じたのと、やはり水素の活用など先端分野に挑戦する姿勢に共感したから、という点が大きいです。
O.H
私も共通しているところがあり、子どもの頃から環境問題に関心がありました。大学でも環境系を専攻していて、温暖化が止まらないっていう課題に対して、自分なりに、自分の手で解決に携わってみたいという思いを、昔から感じていたのが大きな理由です。
Q3
M.T
お客様のプラントにおける制御システムの設計とは、プラントが完成したら完了する仕事ではありません。その点が面白くもあり、大変さも感じます。というのも、プラントが稼働して、自分が設計した通りに設備が動き、製品ができあがるまで見届ける必要があるからです。試運転が完了したらプラントに命が吹き込まれるわけですが、その瞬間は達成感がありますね。
これは個人的な話ですが、もともと工場の夜景というか、プラントのある景色が好きなので、そこに自分が関わっているというのも、たまらない部分です。
I.M
お客様の要求に応えていくのは毎回大変ですよね。納期もありますし、完成までの過程でいろんな問題も発生するので対応も大変です。社内の関係各所や社外のパートナーとの調整にも苦心します。やることが山積です。ただ、自分のすべての能力を使ってプロジェクトを完遂できた時の達成感というのは、この仕事ならではですよね。
K.K
生産技術という仕事は、生産における生産効率と品質を高い水準で保つためにあります。いつも完璧を目指して仕事をするためには、材料の選定、作業方法、設備のスペックなど多角的な視点が必要で、その点は常に苦労します。しかし、自分が考案した改善策が認められ、生産プロセスに反映されるのは嬉しいですね。
O.H
私の場合は、研究って明確な答えがないと言うか、常に手探りで道を探すことに苦労します。ただ、小さなことかも知れないですが、自分が担当した実験がうまくいったり、考案した改良点を装置に反映できたり、そんな時は少しずつですけど進歩を感じられます。
Q4
M.T
これからも勉強しながら経験を積んでいきたいです。また、設計を確実に形にしていくためにはコミュニケーション能力も必要だと思っていますので、その点を兼ね備えた高いレベルの人材を目指したいです。
I.M
引き続き、現在開発中の脱炭素化技術の製品化を実現して、ビジネスとして展開していくことが、私自身の大きな目標です。ただ、特定分野に限定せず幅広い分野に対応できるプロジェクトエンジニアになるために、複数の技術を磨き続けていきたいです。
K.K
引き続き現場の声を大事にして、製品の生産性向上に努めたいと思います。今後も生産技術としての知見を広げていき、関係部署と連携していきたいと思います。また工場のスマート化という大きな課題もあるので、情報収集はもちろんICT(情報通信技術)関係の知識も身に付けていきたいです。
O.H
現在は、部署で定めたテーマに取り組んでいます。しかし私の最終的な夢は、自分で新たに発見したテーマに取り組み、製品として実用化し、世の中に出すことです。その結果、私がこの会社に入社した理由でもある環境問題に少しでも貢献したいと思っています。
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