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2007年10月18日

米国NEIトリートメントシステムズ社、世界初のバラスト水処理装置「VOSシステム」の型式承認を取得

三菱化工機株式会社(社長:波多野 怜)が米国NEI Treatment Systems, LLC(社長 :Peter D. McNulty/以下NEI社)から日本国内での独占製作販売権を受けているバラスト水処理装置 Venturi Oxygen Stripping TM(以下VOSシステム)に対し型式承認がリベリア共和国より発行された。
これは米国船級協会であるABSの図面審査の協力のもと、リベリア共和国の承認業務を委託されているLISCR LLCを経て承認されたもの。今回の承認は定格処理容量2,500m3/Hrまでの装置に対するものでありこれ以上の装置については今後申請される。

本申請に当たり、NEI社はU.S. National Oceanic and Atmospheric Administration (NOAA)の援助受け、陸上テストはメリーランド州立大学環境科学センター付属チェサピーク生物研究所(CBL)の指導のもと、船上テストはCBLとスミソニアン環境研究センターのもとで行われた。

VOSシステムはバラスト水を配管に取り付けられたベンチュリインジェクタにおいて酸素濃度の極めて低いガスを混合しながらタンクに送り込むもので、バラスト水中に溶解している酸素の95%を瞬時に取り除き、生物が生存出来ない環境を維持するもの。排出後には大気に触れると逆の作用 により、急速に溶存酸素が回復する。

同システムの特長は、

  1. 大容量にも対応でき、VLCCを含む広範囲の船型に対応が可能
  2. 前ろ過装置が不要
    稼動部分が少ない
  3. 既設のバラストコントロールシステムに容易に組み込むことが出来る
  4. 危険な薬品を本船に積載する必要もない
  5. 排出されるバラスト水中に有害な副生成物を含まない、などが挙げられる

他システムにない特長としては、バラストタンク内の酸素が取り除かれることにより、タンク内部の腐食と塗装の劣化を阻止する効果を期待できる。この効果により船舶の定期修理の際にはバラストタンク内の補修材料や塗料を大幅に節減できる。この効果はBMT Fleet Technology, Ltd.社(カナダ・オタワ市)により実施された腐食比較テストにおいて、一般的なバラストタンクとの比較で最大84%(無塗装鋼片・高湿潤部位)の腐食低減が確認されている。
同システムは既にいくつかの国際航路船に搭載されており、2008年初旬には新造船への納入が予定されている。

国内では、三菱化工機が技術供与を受けており、三菱-VOSシステムとして装置の製造販売、サービスを行う。三菱化工機は船舶の機関室向けの油清浄機市場において大きなシェアと世界のサービス網を持っており、また、VOSシステムの主要構成機器であるIGGの納入経験を有していることから昨年10月の技術提携に至っている。
世界で最初の型式承認を得たことで2009年以降に拡大する市場で大きなシェアを目指す。

製品に関する問い合わせは三菱化工機株式会社 産業機械営業部へ(Tel 044-246-7350 Fax 044-246-7352)
本リリースに関するお問い合わせは事務部 法務広報Gへ(TEL 044-333-5354 / FAX 044-333-5069)

「参考説明」

バラスト水処理装置とは
現在、世界の商船のほぼすべてが、航海中、荷を積まない時はバランスを取るためのバラスト(重石:おもし)タンクを有しており、その中に水生生物やその幼生、卵などを含んだ海水を大量に取り入れ、運び、積載する港でそのまま排出しており、例えば、アメリカ五大湖周辺では欧州由来のカラス貝が運ばれてきた結果、爆発的に繁殖し、在来種に脅威を与え、沿岸環境を激変させている。同様の問題が各地で起こっており、2004年国際海事機関(IMO)において、生物の移動を制限するためのバラスト水管理条約が採択された。条約中にはバラスト水の処理後の生物量が定められており、その厳しい数値目標をクリアするため各社が競って装置開発を進めている。

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