プラント全体の動きを制御する
脳を造るのが計装・電気の役割
大学の専攻が化学工学でプラントの設計に関わる研究をしていたこともあって、プラントが並ぶ工場地帯の夜景を眺めるのが趣味でした。プラントの魅力は、圧倒的な重厚感や無骨さの中にある美しさです。就職活動で大好きなプラントに関わる仕事を探すうちに、三菱化工機に大学のOBが勤務しているのを知り、興味を持ちました。先輩にプラント建設の最初から最後まで、一貫して関われるという話を聞いたことが志望動機です。仕事の内容だけでなく、ワークライフバランスなど安定した生活基盤も就職活動の軸にしていたので、全国規模で事業を展開しているのに転勤が少ないことも入社の決め手になりました。
大きくて複雑なプラントの動きを制御する部分を設計するのが計装・電気設計の役割です。プラントを人体に例えるなら、骨格が土建、血管が配管、臓器類がタンク、脳や神経、命に該当するのが計装電気になります。営業が受注した案件について、基本設計から詳細設計などデスクワークだけでなく、工事の現場立ち合いにも行きます。計装・電気設計の仕事は、プラントが建って終わりではありません。設計した通りにプラントが動くどうか、そこからが本当の勝負なのです。
トラブルに対応する中で
設計者の実力を問われる
私が担当しているのは主に化学品の原料プラントです。計装・電気設計に限ったことではありませんが、プラント建設の難しさは、製造するものによって動きが大きく違うため、制御の組み方や機器の仕様を変えなければならないことにあります。食品の原料だったら衛生面に配慮して機器や配管も汚れをつきにくくする必要があります。プラントの中で原料をどう動かすのがベストかをイメージしながら、プロセスの設計担当やお客様と打合せを重ねて調整しなければなりません。納期や予算などの条件も考えて、バランスをとりながら設計を行います。設計者にとってコスト感覚はとても重要です。
細心の注意を払って設計しても、実際にプラントを動かしてみると、必ずといっていいほど予想していなかったことが起こります。条件が異なっていたり、自分の知見が足りなかったりと、原因はさまざまです。しかし、そうしたトラブルに対応しなければならない状況は、設計者の実力が問われる場面でもあります。現場でトラブルの原因を突き止めて、問題を解決できたときのうれしさもまた、計装・電気設計の醍醐味といえるでしょう。満足感に浸りながら眺めるプラントの夜景は、格別な美しさに満ちています。
タイの大規模プラント建設で得た
大きな達成感と成長の手ごたえ
直近で手がけたプロジェクトは、タイのゴム製造プラントです。入社して5年目で台湾の小規模なプラント建設を経験したので、海外の仕事は2度目でした。2018年の秋から設計を始め、2020年3月に試運転の為に現地入りして帰国したのは7月です。大規模プラントだったので、現地のスタッフと協力して仕事を進めるのに苦労しました。文化も国民性も異なるため、日本では当たり前のことがタイでは通用しません。日本国内と同じクオリティを維持するために、コミュニケーションを密にして信頼関係の構築に努めました。英語力に自信はありませんが、現地のスタッフもネイティブではないため、拙い英語でも目的が同じなら理解し合えます。タイのプロジェクトを終えて感じたのは、国内よりも海外で仕事するほうが大きな達成感と成長を実現できることです。もし機会があれば、ベトナムなど行ったことのない国で仕事をしてみたいと考えています。
国内外のプロジェクトで計装・電気設計のスキルを一通り身に付けたら、プロセス設計など他部門の業務も経験して幅広い知識を習得し、プラント全体を俯瞰して見られる技術者になりたいと思っています。
ある1日のタイムスケジュール
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8:30
出社
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9:00
メールチェック
デスクワークしながら現場からの問い合わせに迅速に対応 -
12:00
昼食
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13:00
設計図書作成
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15:00
現場とのリモート会議
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16:00
工事のコストまとめ
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17:30
退社